訪日外国人数は年々増加していますが、特に中国語圏の訪日外国人を繁華街などで見かけることが多いように感じます。
実際に2018年のデータを見てみると、訪日外国人のうち、26.9%は中国人、15.3%が台湾人、7.1%は香港人でした。
つまり、訪日外国人の約50%は中国語(簡体字・繁体字)を使用していることになります。
また、中国語圏の訪日外国人の特徴として、訪日中の買物支出が多いことが挙げられます。
観光庁によると、2018年の訪日中国人の訪日旅行支出における買物代の割合は49.9%、訪日台湾人は35.6%、訪日香港人は32.5%でした。
欧米圏の訪日外国人が10-15%であることを考慮すると、かなり買物代の割合が高いことが分かります。
また、日本国内でのドラッグストア店舗数の増加や免税対応店舗の増加、そして高機能な日本製医薬品「神薬」の人気などが相まって特に医薬品を買い求める中国語圏の訪日外国人が多いです。
そこで今回は、Paykeスキャンデータから中国語圏の訪日外国人がどんな医薬品に興味を持っているのか見ていきたいと思います。
【医薬品カテゴリー】Paykeスキャンランキング
医薬品は用法用量を誤ると健康を害する恐れがあるという商品特性上、多くの訪日外国人は正しい商品情報を知りたいと思っており、他のカテゴリに比べてPaykeスキャン数が多くなる傾向にあると考えられます。
また、数年前に話題になった神薬を求めてドラッグストアを訪れる中国語圏の訪日外国人は非常に多いようです。
訪日中の買物支出が多い傾向にある中国語圏の訪日外国人がまとめ買いをする光景もよく見られます。
中国での電子商取引法施行前は、代理購入目的の大量購入も多く見られました。
※「代理購入」に関しては「爆買い減少が与えるインバウンド消費への影響とは」をご覧ください。
Paykeスキャン数を左右する「神薬」とは⁉
神薬とは、2014年10月に中国の大手ポータルサイト捜狐(ソーフー)で「日本に行ったら買わねばならない」と紹介された「12の医薬品」のことです。
この時取り上げられたのは以下の商品です。
・アンメルツヨコヨコ(小林製薬)
・熱さまシート(小林製薬)
・サカムケア(小林製薬)
・ニノキュア(小林製薬)
・命の母A(小林製薬)
・イブクイック(エスエス製薬)
・ハイチオールC(エスエス製薬)
・龍角散(龍角散)
・サンテボーティエ(参天製薬)
・サロンパス(久光製薬)
・口内炎パッチ大正A(大正製薬)
・ビューラックA(皇漢堂製薬)
これらの神薬は、現在でもPaykeスキャン数で上位を占める人気商品となっています。
上記ランキングで太字で示している通り、
1位・4位・17位に龍角散(龍角散)、6位・7位にEVE系の商品(エスエス製薬)、11位にサロンパス(久光製薬)、13位にサカムケア(小林製薬)、16位にサンテボーティエ(参天製薬)
がランクインしていることが分かります。
最多5つの商品が選出された小林製薬は、インバウンド需要を取り込むことに成功し、営業利益は4年弱で約1.4倍に増加しています。
神薬以降、中国メディアやSNSでは他の高機能な日本製医薬品が取り上げられる機会も多くなっています。
下画像は中国で大人気のSNS型ECアプリ「小紅書(RED)」での「日本の神薬」の検索結果です。
ユーザーが自ら購入して使用した感想を画像付きで投稿します。
中国語圏の人々はこうした口コミを参考に日本製医薬品を買い求めることが多いようです。
日本製医薬品の人気が高まったことで海外販売を開始・検討している企業も多いですが、訪日時に購入するほうが安く、偽物の心配がないので、現在も訪日時に医薬品を買い求める訪日外国人は多いです。
今回は中国語圏の訪日外国人に人気のある医薬品をPaykeスキャンデータを用いて考察しました。
訪日外国人の多くを占める中国語圏の訪日外国人の訪日消費動向を把握することで、インバウンド市場の大局を掴むことができます。
今後のインバウンド施策に生かしていただけましたら幸いです。
>訪日中国人対策に関してまとめたこちらの記事も是非ご覧ください。
https://payke.co.jp/blog/chinese_website
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