「訪日外国人(インバウンド)」という言葉とセットでよく耳にする「爆買い」。
しかし、2019年以降、中国人訪日客による爆買いが減少傾向にあることが話題になっています。
では、爆買いの減少はインバウンド消費の減少を意味するのでしょうか。
今回はそのあたりを見ていきたいと思います。
なぜ中国人による爆買いが減少傾向にあるのか
日本で「爆買い」が流行語大賞に選ばれた2015年以降、爆買いの勢いを支えていたのは「代購(代理購入)」でした。
代購とは中国人訪日客が日本で購入した日本製品を中国に持ち帰り、転売することを指します。
関税を支払っている分、中国国内で販売されている正規ルートの日本製品は割高なので、現地の中国人は、代購を利用して安く日本製品を手に入れたいというニーズがあります。
街中や空港でたくさんの荷物を抱える中国人を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
こうした代購により関税収入を逃してきた中国政府は、今年1月より電子商取引法(EC法)を施行しました。
電子商取引法とは、登録や納税のない不正な代購業者を排除するためのものです。
また、訪日外国人のインバウンド消費額(円)は為替レートも大きく影響します。
爆買いという言葉が登場し、流行語大賞に選ばれるなど勢いがあった2015年の為替レートでは、
1元=20円前後で推移していましたが、現在は16円前後を推移しています。
つまり、円での消費額が落ちていても、元での消費額は増加しているということも為替レートによってはあり得るのです。
爆買い減少がインバウンド市場に与える傾向
では、中国での電子商取引法施行による代購の減少は、日本のインバウンド市場にどれほどの影響を与えたのでしょうか。
2018 年と2019年の観光庁の4-6月期訪日外国人消費動向調査の比較により考察します。
2019年の訪日外国人旅行消費額は、2018年同時期比+13.0%の1兆2810億円で、過去最高額を更新しました。
2019年の額を訪日客数で割った一人当たりの旅行支出額の平均は156,670円で、2018年同時期比+7.8%でした。
これらのデータを「訪日中国人」のみにフォーカスしても、2019年の旅行消費額は2018年同時期の3732億円から1000億円近い増加を見せ、4706億円でした。
また、2019年の一人当たりの旅行消費額は227,221円で2018年同時期比+4.8%でした。
代購で人気だった紙おむつ「メリーズ」を含む花王のヒューマンヘルスケア事業が1-3月期で12%の減収を記録したり、資生堂では1-3月期で、代購業者によるものと思われる売上が15%減少するなど、電子商取引法の施行が収益に影響を及ぼす例はあります。
しかし、代購業者からの購入ではなく、正規の購入ルートや実際に訪日して購入するといった消費が増えていくとも考えられます。
現状では、電子商取引法の影響を補って余りある訪日外国人と旅行支出額の増加によって、インバウンド市場は拡大し続けている状況です。
日韓関係の悪化による訪日韓国人の減少については
「訪日韓国人の減少予想をPaykeデータから見る!」をご覧ください。
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