中国では、11月11日はオンラインショッピングが活発になる「独身の日」でした。
今年の独身の日のアリババにおける取扱高は過去最高の2,684億元(約4兆1,602億円 中国元=15.5円換算)を記録しました。
2009年に始まった独身の日は、今や中国マーケティングを意識する上で無視できないビッグイベントと言えるでしょう。
近年では多くの日本製品も購入されており、独身の日での越境ECにおける国・地域別流通総額ランキングでは日本が4年連続1位を獲得。ブランド別の統計では開始1時間後の段階では、花王やムーニー、ヤーマン、資生堂といった日本企業が上位に食い込んだようです。(独身の日で購入された海外商品のカテゴリ―の購入金額のランキングを見るとサプリメント、シートマスク、粉ミルク、化粧品・化粧道具などが上位にランクインしています。)
独身の日や越境ECで日本商品が人気なだけではなく、インバウンド消費としても訪日中国人の消費額は訪日外国人全体の約35%を占めています。そして、訪日中に購入した商品を気に入って友人に薦めたり、SNSで投稿したり、帰国後も現地の販売店や代理購入・越境ECで購入することで、インバウンド・越境EC・アウトバウンドの循環が活発化します。
この循環の中でポイントとなるのがマーケティングです。今回は、中国マーケティングを行う上で気を付けなければならない点について考えていきたいと思います。
何故、中国マーケティングに特別な注意が必要?
中国では、国内のインターネット利用者が特定のサイトやWebサービスにアクセスできないようにブロッキングとフィルタリングを行う大規模情報検閲システム「グレート・ファイアウォール」を採用しています。
数十億人のアクティブユーザーを持つGoogleやFacebookも規制の対象となっているので、中国マーケティングをする際には避けるべきです。
中国国内の中国人にGoogleのサイト経由で情報発信をしても効果は薄いです。また、日本にいる中国人はGoogleを利用することはできますが、利用率は低いので効果はあまり期待できません。
こういった事情があり、日本国内のマーケティングをそのまま実施することはできません。
中国人が利用できないWebサービスとその代替サービス
上表で挙げられる日本で人気のWebサービスはすべて中国国内では利用することができません。
しかし、中国人ユーザーを多く抱える似たサービスがあるので、中国マーケティングに利用することができます。
日本と同じ施策ではダメ!中国の検索エンジン対策!
【百度(バイドゥ)|検索エンジン】
中国では日本でも使われるGoogleやYahooではなく百度(Baidu)という検索エンジンが使われています。
中国のネットユーザー8億人のうち80%が検索エンジンを利用しており、なかでも百度は中国での検索エンジン市場の約90%を占め、約6億人の百度ユーザーが、1日に平均で約60億回検索しています。
したがって、百度で検索したときに自社の商品やサービスのページが表示されれば、中国人からの認知を得やすくなります。
しかし、検索エンジンで上位に表示されるためにはSEO(検索エンジン最適化)対策が必要になります。ここで注意しなければならないのが中国人の検索習慣は日本人と異なる点です。
例えば、「Paykeってどういうサービスなんだろう」と考えたときに、
日本人は「Payke サービス内容」
と検索するのが一般的ではないでしょうか?しかし、
中国人は「Paykeってどういうサービスですか?」
と検索するのが一般的です。
つまり、日本人は単語に区切って検索しますが、中国人は文章で検索する傾向にあります。SEO対策する際にはこういった点に気を付ける必要があります。
また、SEO対策ではHPの中国語対応や内部構造の対応、そしてコンテンツの拡充・定期的な発信なども必要になり長期的な施策になります。したがって、短期的に効果を出したい場合は、百度上でのリスティング広告やインフィード広告などの検索エンジン広告を打つことも日本企業の対策として効果的です。
SNSも日本とは異なる!
日本ではTwitterやFacebook、Instagram、LINEといったSNSが普及し、これらのSNSを使ったマーケティング施策も行われています。しかし、中国では異なるSNSが人気を集めており、それぞれに特徴が存在します。
【微博(ウェイボー)|拡散系SNS】
微博(Weibo)はしばしば中国版Twitterと呼ばれます。
特徴としては即時に大勢のユーザーに情報拡散が可能な点と、ユーザー同士の繋がりが緩い点です。
こういった特徴を生かして、企業・商品の認知度向上やブランディング、キャンペーンの実施に利用するのが一般的です。具体的には、大多数の微博ユーザーへ商品の認知をさせるインフルエンサーに商品を実際に使用した動画を配信してもらうなどのKOL(キーオピニオンリーダー)施策や広告出稿、抽選キャンペーンなどです。
Weiboを利用したマーケティング施策事例
株式会社コーセーが展開するコスメブランド「コスメデコルテ(COSME DECORTE)」では、中国で人気急上昇中の美容KOL「仇仇(qiuqiu、チョウチョウ)」を活用したプロモーションを実施されているようです。
仇仇はWeiboで533万人のフォロワーを持つ人気のKOLです。彼女が実際にコスメデコルテを使用するプロモーション動画をWeiboの彼女のアカウントから発信しています。
今年の3月10日の投稿には、9月時点で13800以上のPV、10000以上のいいね、そして8000件を超えるコメントが寄せられています。
【微信(ウィチャット)|チャット系SNS】
微信(WeChat)は日本におけるLINEに似たサービスです。
特徴は、1対1のクローズドなコミュニケーションが行われている点と、濃い情報のやり取りが多い点です。
企業の活用方法としては、1対1のコミュニケーションになるので、微信上でクーポンを配布し店頭で購入を促進したり、逆に店頭で購入してくれた人にECサイトへの誘導などオンラインとオフラインをまたぐO2O(Online to Offline)マーケティング施策が考えられます。
【小紅書(RED)|SNS型EC】
小紅書はInstagramとAmazonをかけ合わせたようなサービスだと言われています。
元々は商品に関する紹介や口コミを書き込むSNSでしたが、そのまま商品を購入したいというユーザーの声に応えてEC機能も実装されました。
ユーザー数は約7,000万人で、20-30代の女性に人気です。
[小紅書の利用例]
1.インフルエンサー・お気に入りのコミュニティをフォローする
2.フォローしている人が口コミを投稿する
3.投稿を見て商品を知り興味を持つ
4.検索機能から他の口コミを見る
5.商品を購入したくなる
6.EC機能から購入する
7.口コミを投稿する
口コミサイトとEC機能を統合し1つのサービス内で完結しているので、他のSNSに比べてコンバージョン率が高いことが強みです。
また、小紅書ユーザーは、月平均で50回以上アプリを開き月平均使用時間は約130分と、頻繁かつ長時間アプリを使用しています。
販売されている商品の多くは小紅書が仕入れているため、信頼性が高いことがその理由の一つです。
【iQiyi(アイチーイー)|動画メディア】
iQiyiは百度傘下の動画メディアです。
大手検索エンジン傘下の動画メディアという点で中国版YouTubeに例えられます。企業の活用方法としては、iQiyi上に動画をアップし、各SNSで拡散したり動画をWebサイトに埋め込むといった方法が考えられます。
【Tencent Video(テンセントビデオ)|動画メディア】
中国の「テンセント」傘下の動画配信サービスです。
2017年11月時点の月間アクティブユーザー数は約4.9億人に達しています。同じく動画配信サービスの「愛奇芸」に僅差で負けてはいるものの、その勢いはとどまるところを知りません。
テレビドラマ・映画・アニメ・音楽・スポーツ・ニュースなど、さまざまな動画を配信しています。
【YOUKU(ヨウク)|動画メディア】
YOUKUも動画配信サービスです。映画、ドラマ、アニメ、音楽、旅行、スポーツなどの番組が配信されています。
特徴としては、
●オリジナル動画を中心に配信している
●アップロードする動画に時間制限がない
といった 点があります。
【百度地図(バイドゥマップ)|地図アプリ】
中国検索エンジン市場の約90%を占める「百度」が提供する地図サービスです。
月間のアクティブユーザーは2.9億人以上であり、ユーザー1人あたりの週間平均アプリ起動数11.8回と中国で最も普及しているマップアプリです。
中国マーケティングについて
検索エンジン対策は、能動的に検索エンジンで「●●について知りたい」といったニーズが顕在化しているユーザーに対して訴求することが可能です。
対して、WeiboやWeChat、動画サービスといったSNSは潜在的なユーザーに対して、情報を発信・拡散していくことで商品やサービスへの認知を上げる・コミュ二ケーションを通してファン化させていくといったことが可能です。目的に合わせて施策を行う必要があります。
中国マーケティングにおける難関「中国語サイト作成」の基本についてまとめた記事はこちらです
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