2019年3月29日に観光庁から昨年一年間の訪日外国人消費動向調査確定値が公表されました。
今回は2018年のインバウンド消費を詳細に見ていきたいと思います。
※2018年の訪日外国人トレンドについて大まかに知りたい方は、まず「【2018年】訪日外国人トレンドの振り返り」をご覧ください。
公表された確定値では昨年のインバウンド消費は旅行消費額(総額)は4兆5,189億円です。
これは2017年の4兆4162億円と比較すると2.3%増加していることがわかります。
国・地域別に見ると、中国が最も大きな割合を占めており、韓国、台湾、香港と東アジアの国・地域が上位を2017年と変わらず占めています。
しかし、2017年は東アジアの国・地域で全体の約70.7%の消費を占めていましたが、2018年では約67.5%と3%程割合が減っていることがわかります。消費額の総額は増加しているため、東アジア以外の国・地域からの消費が増加していることがわかります。
出展:観光庁【訪日外国人消費動向調査】2018年(平成30年)の訪日外国人旅行消費額(確報)
消費の費目別構成比をみると、買物代が34.7%と最も多く、次いで宿泊費(29.3%)、飲食費(21.7%)の順になります。2017年と比較すると見える変化が2つあります。
まず1つ目の変化は、買い物代が減少していることです。
この要因として考えられるのは、買物消費の最も活発な中国の消費が鈍化したことが挙げられます。
これは中国の1人当たりの費目別消費額でも中国の買物消費が2017年と比べ大きく下がっていることから推察できます。
2つ目の変化として宿泊費・飲食費が増加していることが見えます。
この宿泊費・飲食費の増加の要因として以下2つの仮説が考えられます。
- 仮説①:滞在日数が昨年平均よりも長くなっている?
- 仮説②:宿泊や飲食に費用をかける北米・ヨーロッパの訪日外国人が増えている?
仮説①:滞在日数が昨年平均よりも長くなっている?
こちらは実際に2018年、2017年の平均滞在時間を比較すると、2018年の平均泊数9.0日、2017年は9.1日です。このデータを見ると滞在期間が長くなっていることは宿泊費・飲食費の増加要因でないと考えられます。
仮説②:宿泊や飲食に費用をかける北米・ヨーロッパの訪日外国人が増えている?
宿泊費、飲食費に多くの割合の消費をしている上位の国・地域は、北米・ヨーロッパの国・地域が多くを占めています。これらの国・地域からの訪日外国人が増加している。またはその傾向が強くなっていることが考えられます。
出展:観光庁【訪日外国人消費動向調査】2018年(平成30年)の訪日外国人旅行消費額(確報)
出展:観光庁【訪日外国人消費動向調査】2017年(平成29年)の訪日外国人旅行消費額(確報)
まず、旅行客数のデータを見ると、2017年の北米・ヨーロッパの国・地域の訪日外国人数を見ると2017年は324.1万人、2018年は361.8万人なので約11%増加しています。
次に北米・ヨーロッパ9か国(英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ロシア、米国、カナダ、オーストラリア)の1人当たりの飲食費・宿泊費の合計金額を見ると、2017年は宿泊費73万1660円、飲食費39万9196円。2018年は宿泊費77万0013円、飲食費48万1265円となり、宿泊費は約5.2%、飲食費は約20.5%増加していることがわかります。
これらのことから、宿泊・飲食に費用をかける北米・ヨーロッパからの訪日外国人が増加し、さらにそれらの国・地域からの訪日外国人の宿泊費、飲食費にかける金額が増加していることが原因で構成比に変化が出たことが考えられます。
どの国・地域からの訪日外国人が訪れているのかによって消費傾向は大きく変わります。
ぜひデータに目を通していただき、インバウンド対策に活用いただければ幸いです。
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