10月1日から消費税が8%から10%に増税されました。増税直前の駆け込み需要や、増税後のレジ対応の混乱などニュースでも大きく取り上げられました。これにより国内消費が落ちるのではないかというネガティブな意見も見られますが、訪日外国人によるインバウンド消費にはどのような影響を与えるのか見ていきます。
また、日本代表の躍進も相まってラグビーW杯が非常に盛り上がりましたが、2020年にはより大規模なオリンピックが開催され、訪日外国人が増加し、インバウンド消費を活発に行うと予想されます。
今回は、イギリスを例に、インバウンド市場の拡大にオリンピックの開催と消費税増税がどんな影響を与えるのかを考察していきたいと思います。
今回の消費税増税で何が変わる?
まず始めに、今回の消費税増税がどのようなものなのかを確認していきます。
日本において初めて消費税が導入されたのが1989年で、税率は3%でした。
その後、1997年に5%、2014年に8%、そして今月から10%へと段階的に引き上げられました。
今回の消費税増税で特徴的な点は、①「軽減税率」が導入されたことです。
軽減税率とは、一部対象品目にのみ通常の消費税率よりも低い税率を設定することです。
日本において軽減税率の対象になったのは、「新聞」と「飲食料品」です。
この2品目に関しては10月以降も消費税率は8%に据え置かれています。
ただし、飲食料品の中でもお酒や、外食・ケータリングなどは軽減税率の対象外となります。
もう一つ特徴的な点は、②ポイント還元制度です。
クレジットカード・デビットカード・電子マネー・QRコードを利用して対象店舗でキャッシュレス決済を行うと、大手フランチャイズ(コンビニ等)やガソリンスタンドでは2%分、一般の中小店舗では5%分のポイント還元を受けることができます。
そして、このポイント還元制度はインターネット上のECでの買い物にも適用されます。
ポイントの還元方法は、支払いサービスによっては事前登録が必要なものがあります。
また、支払いサービスにより還元ポイント数の上限も異なります。
ポイント還元は2020年6月までの期間限定であることに注意が必要です。
訪日外国人は免税店で買い物をする傾向!
次に、日本の免税制度について説明します。
今日では、ユニクロ・ビックカメラ・ドンキホーテ・セブンイレブン・ローソン・ファミリーマート等の全国的チェーン店でも免税販売に対応しており、たくさんの訪日外国人が利用しています。
免税制度は、外国人観光客等の非居住者が対象となっています。
非居住者とは日本に入国してから6ヶ月未満の外国人、もしくは海外に居住する日本人で一時帰国の期間が6ヶ月未満の日本人を指します。
免税対象となる買い物以下の条件を満たす必要があります。
・税務署から「輸出物品販売場(免税店)」の許可を受けた店で購入したこと
・1日に購入した額が5000円以上であること
・個人使用目的で購入したこと
・購入品は、30日以内に日本国外へ未開封で持ち出す「一般物品」または「消耗品」であること
以下のシンボルマークは免税店であることを示しています。
ちなみに、2019年4月時点での免税店数は約50,000店であり、5年で5倍以上増加しています。
免税店についての詳細は、【インバウンド考察】いまさら聞けない「免税店」の現状 をご覧ください。
増税(2011年)と五輪(2012年)を経験したイギリスの例
イギリスは2011年に付加価値税を17.5%から20.0%に増税しました。
付加価値税とは、日本における消費税と同じものです。
自国首都開催のオリンピックを翌年に控えたタイミングでの消費税(付加価値税)増税、そして初めて軽減税率を導入するという点で、2011年のイギリスと2019年の日本は似ています。
以下のグラフは、付加価値税増税&オリンピック後のイギリスのインバウンド状況を示したものです。
イギリスの例を見ると、2013年以降も訪英外国人数・消費額ともに増加を続けています。
外国人消費者の心理として、付加価値税は免税されるため増税をあまり気に留めていないのか、それとも増税のニュース自体を知らなかったのかは不明ですが、
日本の消費税増税もインバウンド消費に限ればあまり影響はなく、今後も成長していくと言えそうです。
Paykeではインバウンドの最新情報やインバウンド対策事例など情報発信を行っております。
ぜひ、そのほかの情報もご一読いただければ幸いです。