免税販売70%を超える「ドンキ」の店舗が行うインバウンド対策

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訪日外国人に大人気のドン・キホーテ。
実際に都内の店舗を覗いてみると多くの訪日外国人が買い物しています。
今回はドンキが現在の人気を得るまでに行ってきたインバウンド対策を見て、小売店のインバウンド対策の手本となるポイントを考察していきます。

 

 

ドンキは訪日外国人にどれくらい人気なのか

 

旅行者によるSNSの投稿から訪日外国人に人気のスポットをRJCリサーチとナイトレイが調査した「インバウンドレポート2018」で、
ドンキはショッピング部門で第2位にランクインしています。

 

訪日外国人に人気のスポット上位10か所

 

ドンキの数ある店舗の中でも特に訪日外国人に人気があるのが、大阪・道頓堀エリアの店舗だと言われています。
道頓堀エリア400m以内には現在、ドンキが3店舗(道頓堀店/道頓堀御堂筋店/道頓堀北館)あります。

2018年1年間で訪日外国人の3分の1にあたる1395万人が道頓堀のある大阪市中央区に訪れており、道頓堀店と道頓堀御堂筋店の免税販売比率はそれぞれ71%と66%と全店平均である約10%を大きく上回っています。

また、この2店舗だけでは道頓堀エリアの訪日外国人を取り込みきれなくなり、今年4月にドンキ初のインバウンド型カテゴリー強化店舗である道頓堀北館をオープンし、日本製の化粧品や定番土産の医薬品や菓子などを重点的に取り扱っています。

道頓堀エリアの他にも、免税売上比率が約50%の店舗は、北海道・東京・大阪・京都・福岡・沖縄にあり、
全国的に訪日外国人のドンキ人気は広がっています。

 

 

なぜ訪日外国人にドンキが人気なのか?

 

ドンキが訪日外国人に人気である理由として考えられるのは以下の3つです。

  • 安さ
  • 都市部の店舗のほとんどが24時間営業
  • 幅広い品揃えによりワンストップで買い物できる

 

安さ
安さは「驚安の殿堂」を謳うドンキにとって最も重要にしていることの一つです。
大量一括仕入れにより、他店にはない価格を実現しています。

都市部の店舗のほとんどが24時間営業
ドンキで買い物をする日本人客は、13時ごろから増加して18時ごろに減少する一方で、
訪日外国人の買い物客は19時から22時にかけて急増します。
ドンキで買い物をする訪日外国人はアジアの人々が90%以上を占めます。
彼らの訪日滞在日数は短い傾向にあるため(中国:5.9日/香港:5.5日/台湾:5.8日/韓国:3.1日)、
昼間は観光を楽しみ、夜間に買い物をして、訪日滞在時間を有効に使うので、24時間営業の店舗は彼らにとって魅力的であるのです。

時間帯別ドンキ来店客(日本人/訪日外国人)の推移

 

幅広い品揃えによりワンストップで買い物できる
ドンキが取り扱う商品は、家電から食料品・医薬品まで幅広いことが特徴です。
ドンキに行けば日本土産は全て揃うという安心感が訪日外国人を惹き付けています。

 

 

ドンキが行ってきたインバウンド対策

 

先ほど挙げた人気の理由は、訪日外国人に限ったことではなく、日本人にとっても非常に魅力的な特徴です。
次に、ドンキが訪日外国人に買い物をしてもらうために行ってきたインバウンド対策について深堀りしていきます。

 

免税対応


ドンキは1998年に新宿店で免税販売を開始しました。
現在は全店で免税対応済で、免税手続き用の外国人専用カウンターを設置しています。
2014年10月の新免税制度によって消耗品も免税対象になったことが「爆買い」ブームの一因であるので、
当時すでに免税対応していたドンキは恩恵を享受することができました。

現在、日本全国に免税店は約5万店もありますが、2012年時点では約4000店しかなく、
ドンキが免税販売を開始した1998年の免税店数はさらに少なかったと推測されます。
ドンキは早くからインバウンド需要に目を付け、免税対応したと言えます。

 

ドンキ店内にある多言語表示された免税カウンターの看板

 

 

 

決済対応

2008年には銀聯カードでの決済が可能になりました。
中国では審査の必要ない銀聯カード(デビットカード)の保有率が非常に高く、発行枚数は70億枚と驚異的です。
また、2016年にAliPay、2017年にWeChat Payによる決済を開始し、中国で主流の決済手段であるQRコード決済に対応しました。

さらに、一部店舗では外貨での決済に対応しています。
訪日外国人のドンキでの平均買物額は10,000円を超えるので、
帰国間際で日本円が足りない訪日外国人にとっては、非常に便利なサービスです。

銀聯カードやWechat Payで決済できることを示すドンキの店内表示

 

 

 

情報発信

2010年から「ようこそ!マップ」と「ようこそ!カード」サービスを開始しました。
ようこそ!マップとは、ドンキ店舗周辺の飲食店や特典情報を記載した多言語マップです。
旅行者目線で「訪日外国人は店舗ではなく、街を楽しみたい」ということを意識したことで多くの訪日外国人が手に取り、ドンキの知名度は上がりました。
ドンキは「驚安の殿堂」ゆえに、テレビCM等に多額の広告宣伝費を費やさないので、ようこそ!マップやSNSでの口コミは重要な広告手段です。

ようこそ!カードとは、外国人向けのポイントカードです。
提携先の旅行会社で航空券を購入した際やホテルでのチェックインの際に配布しました。
どの提携先で配布したカードがどの店舗で使用されたかが分かるので、
どの国の旅行客がどの店でどんな商品を買っているか、ドンキでのインバウンド消費をリアルタイムで掴めるのでインバウンドマーケティングに役立ちました。

ドンキの「ようこそ!カード」

 

 

 

多言語対応

ドンキでは店舗内の多言語表示も充実しています。
階数が多く、商品が所狭しと積まれていて通路も狭いドンキの店舗では、
訪日外国人が日本語表示のみで目当ての商品を見つけるのは一苦労です。
ドンキの店舗では、商品棚・床・吊り下げ看板に繁体字・簡体字・韓国語・英語等
さまざまな言語で商品の場所や特徴、レジの場所等を示してあります。
ちなみに商品パッケージの多言語表示は、日本土産を求めている訪日外国人には売れないことから原則していないそうです。

ドンキ店内の床面の多言語表示

 

ドンキ店内の吊り下げ多言語看板

 

 

 

荷物対応

ドンキの一部店舗ではスーツケースを預けられるコインロッカーを設置しています。
訪日後すぐ/帰国直前で沢山の荷物を抱える訪日外国人にも買い物してもらうための工夫です。
また、帰国直前に買い物した訪日外国人が商品を持ち帰りやすいように
購入した商品を空港まで配送するサービスがあります。

 

旅アト需要への対応

帰国後に、訪日時に気に入った商品を再度注文でき、各国の自宅へ配送するECサービス「majica global」を2016年に開始しました。
日本の商品が帰国後でも手に入ることに加えて、免税価格で買えること・手数料が掛からないこと・多言語対応が人気の理由です。

ドンキ店内にある「majica global」加入案内の多言語表示

 

 

 

ドンキは、訪日外国人はどうしたら買い物したくなるのか・どういう情報が欲しいのか・どういう点を不便に感じるのか、を常に訪日外国人目線で考えてきました。
こういった企業努力がインバウンド需要を獲得できた理由です。
インバウンド対策を考えている企業は、ドンキを参考にすると良いかもしれません。

 

 

 

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