【2019年7月】日韓関係悪化によるインバウンド市場への影響は!?

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2019年は日韓関係が毎日のように新聞紙面やワイドショーで取り上げられました。
外交レベルの影響は、どの程度インバウンド市場に影響してくるのでしょうか。
また、毎年7月は、訪日外国人が増加するピークの1つとなっています。
今回は、本政府観光局(JNTO)による2019年7月の訪日外国人数の推計値から見えてくる韓国を含めた現在のインバウンド状況について考察したいと思います。

 

 

2019年7月 中国は好調、韓国は不調

 

2019年7月の国籍別訪日外国人数を2018年の7月と比較した下表をご覧ください。

2018年7月と2019年7月の国籍別訪日外国人数の比較

 

2019年7月の訪日外国人数全体としては、2018年同月比で約16万人増加し(伸率は5.6%)、2,991,200人を記録しました。
この数字は、7月としては過去最高の記録でした。
また、国・地域別の訪日外国人数を見ても、シンガポール・フィリピン・ベトナム・インド・オーストラリア・アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・ドイツ・スペインといった13の国・地域が、7月としては過去最高を記録しました。
さらに、中国では単月としての訪日外国人数で過去最高を記録しています。

 

細かく国・地域別に見ていきます。

韓国は、2018年同月比で 7.6%減少し、 561,700 人でした。
減少の原因としては、日韓関係の悪化や韓国経済の低迷といった政治経済の面と、渡航先としての中国・ベトナム人気の増加といったトレンドの変化が挙げられます。

台湾は、2018年同月比で0.3%減少し、459,200人でした。
エバー航空の台北~愛媛線の就航や成田/大阪~台北線の増便など、ポジティブな要素はありましたが、航空会社のストライキの影響などで相殺されてしまう結果となりました。
既にストライキは終了したので、8月以降は回復するのではないかと予想されます。

香港は、2018年同月比で4.4%減少し、216,800人でした。
新規就航や増便といったポジティブな要素はあるものの、減少の原因としては台湾と同様に、7 月 1 日の祝日を含む3連休に伴う旅行需要の一部が6月に移ったことや台湾・タイなど安価に楽しめる旅行先が人気であることが挙げられます。

フィリピンは、2018年同月比で30.5%の大幅に増加し、7月としては過去最高となる37,800人でした。
マニラ~新千歳/羽田/関西線の新規就航・増便が実を結び、訪日者数は順調に伸びています。

ベトナムは、2018年同月比で21.8%の大幅に増加し、7月としては過去最高の40,800人でした。
花が非常に好きなベトナム人向けの訪日旅行商品が、夏季休暇シーズンの旅行需要の高まりと重なって、大幅な増加につながりました。

欧米豪の国々は、軒並み増加傾向が見られました。
継続的に行ってきた訪日旅行プロモーションや、増便による航空座席供給量の増加が要因だと考えられます。

 

 

中国好調の要因

 

中国は、前年同月比19.5%の大幅な増加を記録し、単月として過去最高の1,050,500人でした。
訪日外国人数全体の3分の1以上を占めながらも、伸率もフィリピン・ベトナムに次ぐ3位を記録しています。
1月から開始した個人査証(ビザ)の発給緩和の効果が順調に発揮されていると言えます。

また、新規就航・増便による中国日本間の航空座席供給量の増加も要因の1つです。
今年2・3月だけで中国~日本線は新たに50路線近く就航しました。
昨年11・12月の新規就航は5路線のみでしたので、大幅に増加しています。
特徴的な点としては、北京/上海~羽田/成田といった大都市間の便ではなく、地方都市を結ぶ便が増加していることです。
例えば、新千歳空港へ就航している中国の都市は9つあります。
北京・上海・天津・広州といった人口1000万人超の大都市に就航している一方で、瀋陽・長紗・杭州といった地方都市にも就航しています。

こうしたビザの緩和、航空座席供給量の増加と夏季休暇による需要の増加によって、単月での過去最高を記録したと予想されます。

下図は、2018年7月と2019年7月における訪日外国人数の東アジアや東南アジアといった地域別の構成比の比較です。

2018年7月と2019年7月における訪日外国人の地域別構成比

 

訪日外国人数の構成比としては東アジアというくくりでは大きな変化は見られませんが、細かく国・地域で見ると韓国・台湾・香港の訪日外国人数が減少し、中国が増加するといった変化が見られます。
また、東南アジア・インドや欧米豪といった東アジア以外の国・地域は増加傾向が見られます。
今までの東アジアの国・地域を対象としたインバウンド対策や海外プロモーションだけではなく、東南アジアや欧米豪に向けた施策も求められます。

 

 

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